閉ざしたる窓、その内のひとりきりの戒厳令をわたしのために
はじめての白髪は恩寵のようでたいせつにジップロックにしまう
毎年、楽しませていただいております。 ぎりぎりで恥ずかしいのですが、行けるところまで、参加したいです。 どうかよろしくお願いいたします。
震度6が頻発をするこの島のこの時代に子らを産みてあり
まさに突き破って生まれたというべき岬のような額の君だ
家庭教師センターへ夫を見送りぬ裏道で抱擁せし後に
もう母に期待をしなくなって子が遠足の持ち物をあつめる
かぎりなくさびしき道だ賛成とも反対とも君に聞かぬ旅
この街に生きるさびしさ桑畑を桑の実をみたことのないこと
どうか君が発熱をしませんように死んでしまう、ととてもこわいから
YouTubeの動画をヤフーで検索するおさなごの夜土曜日曜
出来事が文字を蹂躙することのありてたとえば尊の文字など
ああ、これは不実、と思う一生という言葉不意に口に出せば
はつふゆの遊歩道にはなないろの足跡きみと踏みながらゆく
いつの間にか作らなくなった献立に筑前煮茶碗蒸し鮭チャーハン
栄達も栄華もからっきし要らぬぜーんぶ投げて君に帰りたし
兼業の母の子であれば宴会も飲み会も知りつつ育ちゆく
スカートをふわり揺らして歩み行く北の魔女の忠実なるしもべ
何者にもならないといえば原因とずっと同衾ができるのですか
泣いている理由を問えどおさなごはひたすらに腹を蹴り上げるばかり
風邪をひきし子を休ませるためですら連絡帳を託す人が要る
とらえどころなきものの萌芽おさなごが人を叩きたがる冬である
給食やおやつの話聴きながら御栗林をあるいてゆきぬ
噴煙をあげる山々の映像を眺める他のなき冬である
買うべきか買うべきじゃないか逡巡しオニオンスープを買って帰りぬ
実に妙な毎日だった塗り絵などいくらでも買ってやった暮らしは
絵が好きなおまえじゃないが炎の絵をおまえが描いたことのないこと
戦争といえば応仁の乱であるたとえばそういう職掌だった
がっかりという顔の上手き親友を拾いし日、からの平行世界
たずねたきたよりたき弱き朝には王維詩集を書架よりえらぶ