2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

完走報告(柳原恵津子)

ありがとうございました!感謝!!

100:最後(柳原恵津子)

ポンデリングの最後に食べる一粒を家族みんなでまだ見つめおり

099:観(柳原恵津子)

観覧車まわれよまわれあした行く沖をてっぺんから愛そうよ

098:吉(柳原恵津子)

吉報をひとつ携帯にうけておさなごに食べるべきものを聞く

097:陽(柳原恵津子)

小春日の陽があたたかいこの午後にわたしの影をひとつ隠すから

096:翻(柳原恵津子)

伸びっぱなしの髪翻しゆきずりのゆきずりたる能力に殉ぜよ

095:運命(柳原恵津子)

運命とやがてことばにしなくなり本当の運命が根を張る

094:雇(柳原恵津子)

しぶいしぶい顔をあなたはするだろう雇用とか職とかの話に

093:印(柳原恵津子)

君の姓は草原の木蔭もらいうけし印をわたしの分霊、と決める

092:勝手(柳原恵津子)

うたがいの眼差しは雨みたいだからうたがいがかわくほど身勝手を

091:覧(柳原恵津子)

図書館の閲覧室で知りし私たちの十五年のちの常用薬よ

090:布(柳原恵津子)

いちまいの布を窓辺に帆のようにかざしてたったひとりの船出

089:煽(柳原恵津子)

海風に煽られる君の髪などを痛いほど知る見知らぬままに

088:七(柳原恵津子)

七歳の君は生きるよ三年生の男の子にやりこめられながら

087:故意(柳原恵津子)

故意じゃないことばかり選ぶという故意を海岸につくまで繰り返す

086:魅(柳原恵津子)

雨雲に魅入られっぱなしなるひと世わらう他ない人形でいたい

085:遥(柳原恵津子)

それは見てきたように母子で語るなり遥かかなたの国の話を

084:皇(柳原恵津子)

七歳の君は生きるよ皇太子をめんたいこって読みちがえながら

083:射(柳原恵津子)

射貫かれることより苦く青空を思慮のなき顔でみあげるばかり

082:チェック(柳原恵津子)

ネクタイを買うことのなくユニクロのチェックのXLとしたしむ

081:網(柳原恵津子)

しかし証であるからちゃんといただいて大切にしまう連絡網を

080:議(柳原恵津子)

引きつぎをひとつ終えたり八月と十月の議事録なくしたまま

079:絶対(柳原恵津子)

絶対という語の好きなおさなごが絶対と言うときのニヤニヤ

078:棚(柳原恵津子)

地球儀を寄せてタオルで棚を拭く今年もおひなさまを出そうよ

077:聡(柳原恵津子)

聡明というわけじゃなく優しいとも違ってですがわたしの姉だ

076:ほのか(柳原恵津子)

ぞんざいに子のいれてくれし珈琲のなみなみとほのかに温かし

075:盆(柳原恵津子)

簡潔に言う男らしい藤原道長のおおき盂蘭盆の文字

074:焼(柳原恵津子)

外泊をはじめてしたるおさなごの焼きマシュマロの話など聞く

073:谷(柳原恵津子)

この冬のこどもたちとの約束は谷中銀座の飴屋の飴、ほか

072:銘(柳原恵津子)

叱責のメールを打ってその足で鉄剣銘を板書しており