2013-11-23から1日間の記事一覧
降り止まぬ柿の落ち葉をくぐりゆく私は君を語りてゆかな
帰り口がないなんて幻視 係員に訊けば意外な場所を指さす
ねこバスのキーホルダーと付箋紙を兄弟はおみやげに選んで
透きガラス観ればひらめく闇ありて気がつけば子を待たせておりぬ
きれいだね、きれいだね、と繰り返すふたり指紋を合わせるように
カタカタとフィルムまわして子は去りぬわたしも真似て像を投じる
壁一面にキキのソフィーのイメージ画がありて描くとは甘美なる刑
ホットドッグとポテトとスープをこれ以上食べられぬほど地上で食らう
ウル・ラピュタの氏にすこしだけ焦がれその紋章に君と触れたり
獣にも人にもあらずオリーブより大きなロボット兵が神なりき
天空の庭にすすきの穂は揺れてただ手をつなぎおり何もいわずに
蔦の這うらせん階段を永遠に永遠に空へとのぼりゆく
ねこバスに頬ひからせてのぼる子の秀でてはおらぬそののぼりっぷり
盛も衰ももう昔、されどゾートロープ塔を鳩らは飛びたちてやまず
立て膝で小窓覗けば善き作業場のレプリカみかん箱など積まれて
おさな子が覗き、聞き、くぐるその後を「もう駄目」と言いながら追いたり
翡翠色のドアノブ、クランク、ステンドグラス 猛き商人の夢の城はも
受付の椅子に大きなトトロいて子は目をきらめかせつつ、止まれり
ジブリの森の入り口は地下 石段をフラットダブルフラットとくだる
「一般のお客様」として美術館に列なす時の船に乗る心地